このたび、生命保険文化センターより「生命保険に関する全国実態調査」の結果速報が公表された。ここでは、他のデータとあわせ、ライフプランニングにおける生存期間と要介護期間の指標を見てみたい
先日、2014年時点の平均寿命が厚労省より発表された。男性80.50歳、女性86.83歳でともに過去最高を更新したとのこと。ところで、平均寿命とはその年に生まれた子どもが何歳まで生きるかという推定であり、今の私たちがいくつまで生きるかということではない。各年齢の人が平均してあと何年生きるか、というのは平均余命である
たとえば65歳の人の平均余命は男性19.29歳、女性24.18歳であり、年齢に加算すると平均寿命よりも長く生きることになる。平均寿命はゼロ歳児の平均余命であり、若くして亡くなる方も含めた推定平均値なので、無事65歳を迎えた人の余命は平均寿命よりも長生きとなる
年齢/性別 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
40歳 | 41.57 | 47.55 |
45歳 | 36.82 | 42.72 |
50歳 | 32.18 | 37.96 |
55歳 | 27.68 | 33.28 |
60歳 | 23.36 | 28.68 |
65歳 | 19.29 | 24.18 |
70歳 | 15.49 | 19.81 |
75歳 | 11.94 | 15.60 |
ところで「健康寿命」という言葉も耳にされたことがあるのではないか。これは生活に支障をきたすような身体的不具合がない状態で何歳まで過ごせるかを指し、2010年時点で男性70.42歳、女性73.62歳である。よって、平均寿命とこの健康寿命の差は日常生活に支障を及ぼす傷病を抱えて過ごす平均年数ということになる
ただこの「生活に支障がある」ということと「介護を必要とする」ということは違う。厚労省は2008年に性別・年齢別・県別に「要介護期間」「自立期間」を試算している。介護保険の要介護2以上の状態を要介護期間とし、その時点の平均余命から要介護期間を差し引いたものが自立期間となる。2005年時点、宮城県の65歳と75歳の各年数は下記の通り(端数処理の関係で合計が一致していない)
65歳 | 75歳 | |||
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男性 | 女性 | 男性 | 女性 | |
平均余命 | 18.13 | 23.10 | 10.99 | 14.63 |
自立期間 | 16.66 | 20.11 | 9.50 | 11.60 |
要介護期間 | 1.47 | 2.99 | 1.48 | 3.04 |
一方生命保険文化センターの実態調査では介護期間の平均が4年11ヶ月だった。サンプルや要介護基準の違いなどによる差と思われる。しかし、これらデータの差よりも、要介護期間における問題は、ケースにより長短が大きくバラけることである。当実態調査でも10年以上15.9%、2年未満も23.6%と無視できない比率で存在する
したがって余命についても同様であるが、ライフプランニングで採用すべき期間を明確に提示することは残念ながらできない。結局のところ、これらの平均値を一つの指標として、最終的にには各自の判断に委ねざるを得ない