2019年度税制改正において、相続関連法改正を受けての税務上の取扱が示された。配偶者居住権の評価方法、特別寄与料算出の考え方をメインに、民法における成人年齢引下げに伴う措置も定められた。
改正相続関連法については、こちらをご参照 本サイト内投稿
配偶者居住権の評価方法
建物
居住権価額=評価額-下記A
A:配偶者が予定の居住期間を経過して尚残る建物の現在価値
A=評価額×(残存耐用年数-存続年数)/残存耐用年数×複利現価率
評価額とは : | 相続税評価額 |
残存耐用年数: | 法定耐用年数×1.5-築後経過年数 |
存続年数とは: | 終身居住権を設定の場合 : 配偶者の平均余命年数 一定期間を設定した場合 : 当該期間(余命上限) |
複利現価率 : | 存続年数に対応した法定利率による複利現価率 |
- 「残存耐用年数-存続年数」がゼロ以下ならゼロとする
- 所有権価額は「相続税評価額-居住権価額」となる
建物が古い場合や配偶者が若い場合は「居住権価額=相続税評価額」となり、配偶者居住権を創設した趣旨を叶えられない可能性が高い
土地
居住権価額=評価額-下記B
B:配偶者の予定居住期間経過時も不変と仮定した評価額の現在価値
B=評価額×複利現価率
- 用語の解釈は建物に同じ
- 所有権価額は「相続税評価額-居住権価額」となる
土地の配偶者居住権および所有権には、ともに小規模宅地特例を適用できる。ただし評価減の対象となるのは、各評価額の比で按分した分まで
別途定められた配偶者短期居住権は「半年間は分割協議の結果に係らず住める権利」を規定したもので、相続税の課税対象資産となるものではない
特別寄与料算出の考え方
特別寄与料は遺贈により取得したものとみなし、相続税課税の対象となる(2割加算適用)。そして特別寄与料を支払った相続人は、自らの相続税課税価格からそれを控除する
< 算式例 >
* 非相続人が被相続人を介護したケース
寄与料=
介護業者の日当×裁量割合×介護日数
裁量割合:0.5~0.8
(有資格者より業務習熟度が低いことを勘案)
成人年齢引上げに伴う措置
- 相続税未成年者控除の対象が18歳未満に
- 相続時精算課税制度の受贈者要件が18歳未満に
- 贈与税の特例税率適用対象が18歳未満に