国民年金保険料・納付猶予制度の対象が、この7月から「50歳未満」へと拡充される(現在は30歳未満)。当制度は、本人の所得が低いにもかかわらず世帯主の所得が基準をオーバーしているために「保険料免除」が適用されないケースで有用となる。
すなわち本人および配偶者の所得のみを基準に保険料の支払いが猶予される制度で、後日、支払い可能となった場合に遡って支払うことができる
後日においても支払わなければ年金額は単なる滞納と変わらないが、猶予を認定された期間は受給資格期間(現在25年)に算入されるほか、猶予期間中も障害年金・遺族年金の対象となる
ちなみに障害年金や遺族年金は次のいずれかの保険料納付要件を充たさないと受給できない
- 保険料滞納が、障害の初診日や死亡日の前々月までの期間の3分の1未満
- 初診日や死亡日の前々月までの1年間に保険料の滞納がない
言い換えると過去の払込状況に関らず、直近1年間に滞納がなければ受給できる。そして猶予の承認を得ていれば「滞納」とはならないため受給できることになる
なお国民年金保険料は、通常2年で納付権がなくなり未納が確定するが(平成30年9月30日までは特例で5年遡及が可能)、当制度を利用し猶予された保険料は10年間遡及して支払うことができる
所得要件(夫婦とも前年所得が下記以下)
(扶養親族等の数+1)×35万円+22万円
ちなみに本人・配偶者のみならず世帯主も上記基準以下の場合には、猶予ではなく全額免除の申請ができる。免除にはこのほか段階的に4分の3免除、半額免除、4分の1免除があり、それぞれ一定割合で老齢年金額にも反映する
障害年金・遺族年金を含め、可能な限り年金の受給権を確保すべく、単なる「未納」とせず、条件に該当する場合はこれらの制度を、手間を惜しまず利用したい