求職者支援制度の拡充

雇用保険の基本手当は、被保険者期間等の要件を充足しなければ受給できないため、非正規労働者等は転職活動や再就職のためのスキルアップに取り組みにくい状況に置かれがちである。そこでそのような者の就職を支援する制度として「求職者支援制度」が設定されているが、この4月に「対象者の拡大」や「給付金受給要件の緩和」等の改正がなされた

制度の概要

雇用保険受給対象外の者に対し、就職に寄与する訓練を概ね無料で受講できる仕組みを設定し(テキスト代等一部負担あり)、さらに、低所得者には各種手当も給付しながら受講を支援する

具体的な内容

赤字は改正点

対象者
  • 転職を目指す雇用保険非加入のパートタイマー
  • 就職を志向する廃業した自営業者
  • 雇用保険加入者だが要件未充足で基本手当を受給できない者
  • 基本手当の受給終了後も就職できない者
  • 直ちに転職はしないが、スキルアップを目指す雇用保険非加入のパートタイマー(新たに追加)

★ 対象となる大原則:労働の意思と能力を有し、ハローワークが支援の必要性を認めた者

訓練内容
コース名 基礎コース 実践コース
内容 社会人としての基礎的技能習得 職務のための実践的技能習得
期間 2~4か月 3~6ヵ月
分野
  • ビジネスパソコン基礎
  • オフィスワーク基礎
  • IT
  • 営業・販売・事務
  • 医療事務
  • 介護福祉
  • デザイン
  • その他
職業訓練受講給付金
  • 職業訓練受講手当
    月額10万円
    訓練途中で就職するなどして、1支給単位(1か月)の日数が28日未満となった場合は、1日当たり3,580円で計算
  • 通所手当
    最も経済的・合理的な通勤費
    (月42,500円限度)
  • 寄宿手当
    月額10,700円
    (配偶者との別居を要すること等をハローワークが認めた場合)

< 給付金受給要件 >

  • 本人月収が8万円以下
    ➡ 通所手当については「12万円以下」に緩和
  • 世帯月収が25万円以下
    ➡ 30万円以下に緩和。また、通所手当については34万円以下に緩和
    従来、通所手当は受講手当受給が前提であったが、通所手当に限り受給要件を緩和したことで、受講手当は受給できないが、通所手当のみ受給できるパターンが発生する
  • 世帯金融資産が300万円以下
  • 現在の住まい以外に土地・建物を所有していない
  • 世帯の中に同時に受給する者がいない
  • 6年以内に受給経験がない
  • すべての訓練日に出席していること。やむを得ない理由がある場合でも8割以上は出席していること
    ➡ 上記、ハローワークが認めた「やむを得ない理由」がなくても、基礎コース受講者や、育児・介護を行っている者は、8割以上出席で要件充足とみなすこととした。ただし、給付額は減額

本制度利用にあたっては、ハローワークで受講にふさわしいことが認められることはもちろん、訓練実施機関の選考も通らなければならない。また就職についてハローワークと定期的に面談し、打ち合わせをしなければならないことも含んでおく必要がある