後期高齢医療2割負担へ

6月4日に医療制度改革関連法が成立した。75歳以上が加入する後期高齢者医療制度では、現役並み所得者が3割負担しているが、そのほかの人は1割負担となっている。この現在1割負担となっている人のうち、所得が下記に該当する世帯の構成員は、2022年度後半から2割負担となる。時期の詳細は追って政令で定めるとのこと(本改定は「高齢者の医療の確保に関する法律」の改定)

(2021年12月追加情報)
本改定は2022年10月1日から施行と決まった

世帯内「後期高齢者」に住民税課税所得28万円以上の人がおり、
且つ「年金収入+その他の合計所得金額」が下記に該当

  • 後期高齢者が1人の世帯:200万円以上
  • 後期高齢者が複数の世帯:320万円以上
  • 「複数の世帯」の金額は各人の合計
  • 「年金収入」には遺族年金・障害年金を含まない
  • 「その他の合計所得金額」には公的年金以外の年金(雑所得)を含む他の所得全てを含む(申告した場合は分離課税分も)

後期高齢者医療制度の加入者は全国で1815万人。そのうち7%がすでに現役並み所得者として3割負担しているが、残る1割負担者のうち2割超の約370万人が引上げ対象となる見込み

75歳以上の1人当たり年間医療費は平均で約92万円と、65歳未満の約5倍となっているが、後期高齢者医療制度の給付財源の4割は現役世代からの後期高齢者支援金(健康保険料に含まれている)で賄われている(5割は公費、残る1割が後期高齢者の保険料)。2022年度からは団塊の世代が75歳以上になり始めるため、医療費の急増、ひいては現役世代の保険料負担のさらなるアップが見込まれ、制度の維持には負担の均衡を図る必要があるとのスタンスで改定された

ただし引上げ実施後3年間は下記の激変緩和措置を講じるとのこと

外来診療に限り、「2割」の適用は月額医療費3万円までとする

つまり月額医療費が3万円の場合の自己負担は、1割負担で3,000円、2割負担では6,000円であるから、負担増は最大でも月額で3,000円となる

ちなみに介護保険(65歳以上)の負担割合は下記の通り

「年金収入+その他の合計所得」
世帯内の65歳以上者数 1人 2人以上
1割負担 280万円未満 346万円未満
2割負担 280万円以上
340万円未満
346万円以上
463万円未満
3割負担 340万円以上 463万円以上