国保の赤字体質を見る

国保の2014年の赤字が前年度比で14%以上増え、拡大傾向に歯止めが掛からない。高齢化による給付費の膨張が原因と言ってしまえばそれまでだが、ここで協会けんぽと比較しながら、改めて国保の体質的な問題を確認したい。

国保 協会けんぽ
平均年齢 49.5歳 36.2歳
1人当り医療費 29.0万円 15.2万円
平均所得(世帯) 158万円 245万円
世帯当り保険料 14.7万円 15.2万円
保険料負担率 9.3% 6.2%

まず加入者の平均年齢の高さは一目瞭然である。健保や共済加入者もリタイヤ後は75歳になるまで国保に加入するのだから当然だろう。そして高齢なのだから医療費が嵩むのも当然ということになる

ところが給付が膨らむ分、保険料を上げるというわけにもいかない。なぜなら所得が低いために現状でも保険料負担率が高くなっており、保険料滞納も300万世帯を超えている状況だからだ。保険料負担率は所得に対して保険料がどれくらいの割合を占めているかを表す

このように国保は体質的に難しい面を抱えており、今後も相当の公費投入は避けられない

ところでここまで全体としての国保の体質的な問題を見てきたが、現在、国保は市町村単位で運営されており、同じ国保内での地域による格差拡大も問題となってきた

すなわち都市部と農村部では平均年齢(=医療費)も所得も異なる。そして平均年齢が高い農村部が低所得の傾向にあるため、国保の運営さえ難しくなっている

そこで2018年度から国保の運営が県単位となる。ただ現在、同じ県内でも保険料に最大2.8倍の差がある状態で、それが1つになれば保険料が下がる市町村もあるが、上がる市町村も出てきて当然だ。さてあなたの町は?