相続税猶予制度
個人事業主に相続が発生した際、当該事業を相続した相続人の課税対象額から事業用資産分を控除できる(不動産貸付事業は対象外)。
適用条件
- 対象事業用資産を取得し事業を承継する
- 担保を提供する
- 2023年末までに承継計画を提出する
- 被相続人が青色申告の承認を得ている
- 当該相続人が承継者の認定を受け、青色申告の承認を得る
対象資産
事業の用に供され、貸借対照表に計上されている資産
- 土地:400㎡までの部分
- 建物:800㎡までの部分
- 減価償却資産:固定資産税・自動車税の課税対象物等(特許権等の無形償却資産を含む)
猶予税額
承継相続人が納付すべき相続税の内、該当事業用資産の課税価格に対応する額
適用期間
2019年1月~2028年12月末
猶予税額の免除
全額免除
- 認定相続人が生涯当該資産を保有し、事業を継続した場合
- 認定相続人が一定の身体障害に該当した場合
- 認定相続人に破産手続きの開始の決定があった場合
- 相続税申告期限から5年以上経過後に、次の後継者に当該資産を贈与し、その後継者が贈与税の納税猶予を受ける場合
一部免除
- 同属関係者以外に当該資産を一括譲渡する場合
- 民事再生計画の認可決定があった場合
- 一定の環境変化により当該資産を一括譲渡、または事業を廃止する場合
猶予の取消し
猶予を取消されると猶予されていた税額のみならず、その間の利子税も納付しなければならない
- 事業を廃止した場合
- 当該資産を譲渡した場合
(取消税額:譲渡資産価額に対応した税額)
その他
- 3年ごとに継続届出書を税務署長へ提出要
- 小規模宅地特例とは選択適用
贈与税猶予制度
同様に贈与についても猶予制度が新設された
認定受贈者
20歳以上(2022年4月以降は18歳以上)
相続時精算課税制度の適用
贈与者が贈与年の1月1日に60歳以上であれば「直系卑属の推定相続人」以外でも利用できる
猶予の停止と継続
相続が発生した場合は当該贈与資産も贈与時価格にて相続税の課税対象となるが、都道府県の確認を受けることで「相続税の納税猶予」に切替え、猶予を継続できる
< 小規模宅地特例(特定事業用)の見直し >
2019年4月以降の相続からは、相続開始前3年以内に事業を開始した場合、適用除外となる。ただし次の場合は適用可
- 2019年3月にすでに事業を開始している場合
- 当該土地上の事業用建物価額が土地の15%以上の場合