このたび、元公務員世帯を中心に598億円の年金支給漏れが発覚した。そのメインは振替加算だ。
厚生年金や共済年金に20年以上加入した人に、年収850万円以下の配偶者がいる場合、65歳から、その配偶者が65歳になるまでの間、加給年金が老齢厚生年金に加算される
特別支給の老齢厚生年金(定額部分)を受給できる場合は、その受給開始時点から加算される
そして65歳になると加給年金が停止され、代わって受給が始まる配偶者側の国民年金に振替加算が加算される
ただし配偶者自身が20年以上加入の厚生年金や共済年金の受給者である場合は、加給年金・振替加算とも加算されない
振替加算の受給権を有するのは1966年4月1日までに生まれた人だ。なぜなら本制度は国民皆年金(すべての人が年金加入対象)となった1986年に、すでに20歳を過ぎていて、40年間保険料納入による国民年金満額受給が難しい人に対する補填を目的としたものだからだ。したがって早く生まれた人ほど、満額から遠ざかる可能性が高いため、加算額は高くなる
ところで通常、20年以上加入の厚生(共済)年金受給権者は、その受給手続の際に、加給年金受給のために配偶者についても告知・登録する。そうすると配偶者が65歳に達した時点で加給年金は自動的に停止され、受給がスタートする配偶者側の国民年金に振替加算がプラスされる
ところが2015年、共済年金と厚生年金が一元化されるに当たり、共済年金側の情報が厚生年金側(日本年金機構)に十分伝わらなかったらしく、そのことが支給漏れの主因となった
したがって「配偶者が厚生年金や共済年金に20年以上加入していた」という人は、自分の国民年金に振替加算がきちんと加算されているか確認したほうがよい
なお振替加算の受給予定者が、厚生(共済)年金20年以上加入の配偶者よりも年上の場合、加給年金の支給がないまま、本人65歳時点から振替加算が加算された国民年金を受給することとなる(この場合は自ら手続をしなければならない)
国民年金を繰上げ受給しても振替加算は65歳からの加算となる。一方繰下げした場合は振替加算も一緒に繰下げられるが、振替加算分については増額されない