生命保険文化センターの「生命保険に関する全国実態調査(平成27年度速報版)」によれば、加入世帯の年間支払保険料が平均385千円で2003年度比で28%低下した。要因として世帯員の減少が挙げられているが、世帯主の普通死亡保険金額も2,313万円から1,509万円へと35%減少しており、全体として保険離れが進んだようだ
では保険離れの要因は何か。死亡保障ニーズの見直しが進み、過分な保障が整理されたのか、と一瞬思い浮かんだ。しかし年代ごとの平均死亡保険金額を見て、その推量はすぐに打ち消された
なぜなら50歳代前半がピークとなる傾向が従来と変わっていなかったからだ。これが意味するものは何か。それは社会的地位や収入が高まるほど、万が一の際の損失が大きいと捉え、それをそのまま保険金額に置き換えることによるのではないか。勧める側もややもすると同様の基準で勧誘したりする。たしかに高収入が途絶えるのだから大損失には違いない
しかし何のために保険に加入するのかを突き詰めた場合、その損失額をそのまま保険金額とするのは必ずしも正解とは言えないのではないか
つまり加入目的が現在の収入を補償し、生きていたと同様の経済効果を求めるのであれば正解かもしれないが、遺族のその後の生活保障が目的ならば、現在の収入ではなく、遺族がその後必要とする費用総額を保険金額とすべきではないのか
そうすると実は末子が生まれた時点で必要保障額が最大となる。50代前半ともなれば、多くの場合、子も独立あるいはそれに近い状態となり、将来必要な費用の大半は夫婦の老後資金となる
また同目的の達成には、預貯金等の資産が寄与することも考慮したい。つまり蓄えが十分にあれば、その分、保険ニーズは減少する
よってポイントとなるのは今後必要となる費用の試算と、それに充当しうる資産の把握ということになる。すなわち保険加入の判断においてもライフプランニングがベースとなることがわかる