日本学生支援機構の奨学金制度において、2017年度は以下の改定が行われた。
給付型奨学金の新設
住民税所得割の非課税世帯・生活保護世帯あるいは養護施設出身者で、大学・短大・専修学校(専門課程)へ進学する者、または高等専門学校の4年へ進級する者のうち、学校推薦を受けた者を対象として、返還不要の奨学金を新設した
公私別 | 通学形態 | 給付額 |
---|---|---|
国公立 | 自宅通学 | 2万円 |
自宅外 | 3万円 | |
私立 | 自宅通学 | 3万円 |
自宅外 | 4万円 |
養護施設から進学した者には別途、入学一時金として24万円が給付される
当奨学金の申込みは高校在学中の予約申込のみ
2017年度:「私立/自宅外」「養護施設出身」を先行実施
2018年度からすべてのパターンを本格実施
所得連動型返還方式の新設
現在の定額方式に加え、前年所得(市町村民税の課税所得)に基づき、毎年度、返還額を見直す方式を追加する
採用要件
- 2017年度以降の第1種奨学金、新規採用者
- 口座振替により返還すること
- 機関保証を利用すること
ポイント
- 返還月額=所得×9%÷12(最低2,000円)
- 毎年10月から新返還額へ変更
- 初年度の返還額は定額型の半額
- 減額返還制度の利用不可(期限猶予制度は可)
- 卒業後は定額方式への変更不可
(定額方式から所得連動方式への変更は可) - 所得の把握にはマイナンバー利用を予定
2012年にスタートした「所得連動返還型無利子奨学金」は名称が似ているが返還猶予制度の1種であり、第1種奨学金利用者が低所得の間、一時的返還を停止できるシステムを指す。今後は混乱を避けるべく「返還期限猶予の特例」あるいは「猶予年限特例」と呼ぶことが推奨される。なお返還猶予制度には他に災害・疾病等の際に適用される「一般猶予」がある
減額返還制度の拡充
「所得連動型」を選択できない既利用者にも、継続的に返還してもらうべく改定された
現行制度 | 改定後 |
---|---|
災害・傷病・失業その他経済的理由により返還困難になった場合に、返還額を2分の1に減額できる | 2分の1のほか、3分の1を選択可能とする |
減額適用期間の上限:10年 (1年ごとに更新申請する) |
最長15年へ |
返還総額は変わらないため、減額するほど返還期間が長くなることに留意
< 制度利用の基準 >
給与所得者:年収300万円以下
他の所得者:所得200万円以下
給与所得者:年収300万円以下
他の所得者:所得200万円以下
上記をオーバーするときは下記を控除可
- 基礎控除:25万円
- 被扶養者1人につき:38万円
- 親等への生活費補助:38万円
- 本人・被扶養者の医療費:96万円限度
機関保証料の引下げ
2017年度より15%引下げ
第1奨学金の成績基準緩和
住民税非課税世帯には「高校1・2年の成績評定平均3.5以上」に該当せずとも、「進学先で特に優れた成績を修める見込みがある、として学校長が推薦した者」でも可とする
教育費について(参考) PC向けサイト