これまで25年だった受給資格期間(老齢年金受給に必要な加入期間)が2017年8月から10年に短縮される。
ただし8月からと言っても、年金は受給権発生月の翌月からの給付となるので9月分からとなる。さらに年金は偶数月の15日に前2か月分が振込まれる仕組みなので、新たな受給対象者の実際の受取りは10月からとなる
本改定により新たに受給可能となる65歳以上の人には通知とともに申請書類が届くはずだ。しかしデータ不備等もないとは限らないし、また「これからでも10年を充足できたのに」と後悔しないように、内容と対策を見ておきたい
受給資格期間は保険料納付済み期間と免除期間、さらに合算対象期間の合計だが、免除期間のうち「全額免除」以外は免除分を除いた保険料(要納付分)を納めていなければ算入できない
合算対象期間とは
1961年以降で、加入が任意とされていた立場のときに、加入していなかった期間。昭和61年3月以前にサラリーマンの配偶者だった期間や、平成3年3月以前に20歳以上の学生だった期間、海外在住期間などが該当する。「カラ期間」などとも呼ばれ、受給資格期間には算入されるが、年金額には反映しない
2017年8月1日時点で「10年」をも充たせない人は、下記の方法で充足できる可能性がある
1.任意加入制度
国民年金の保険料納付は60歳までだが、受給資格を充たせない人は、最大70歳まで延長して納付できる
< もうひとつの任意加入 >
受給資格を充たしている人でも、年金額を増やすために任意加入できる。ただし、この場合は65歳まで
2.後納制度
年金保険料は2年を超えて遡及納入出来ないのが原則だが、2018年9月までの特例で、過去5年以内の未納保険料を納めることができる。ただし、前々年度よりも前の分には利息が付く
< 特例追納制度 >
夫が退職したり、自分の収入が増えたりして、3号被保険者から1号被保険者への切換えが必要だったにもかかわらず、その手続をしていなかった場合、その期間が未納となってしまう。この場合「特定期間該当届」を提出の上、最大10年前まで遡って納めることができる(2018年3月までの時限措置)
ところで納付期間10年での年金額はどれくらいになるのか。国民年金2017年度の満額(40年間納めた場合)で779,300円であるから、10年分だと年額194,800円といったところだ。ただ受給資格判定時とは異なり、年金額算出においては合算対象期間が算入されず、免除期間もその時期と免除割合に応じて算入月数が減らされることには注意を要する
ただし2号被保険者期間(厚生年金加入期間)がある人は、同時に老齢厚生年金の受給権も発生するので受給額は上積みされる
なお本改定により、寡婦年金の受給要件も緩和されるが(夫の加入年数:25年→10年)、遺族基礎年金の対象者判断においては従来通り「25年」を充たす必要がある
遺族年金・寡婦年金について PC向けサイト