厚労省が「がん」による退職を防ぐための指針を公表した。大まかに言えば、医師と事業主が情報を共有し、事業主に配慮を求める内容だ。
指針に応じた取り組みが、優良企業から徐々に浸透することを期待するのはもちろんだが、むしろこの報道でのデータを見て、あらためてその実態の深刻さを思い知らされた
いまや2人に1人が罹患するという「がん」だが、2011年の新規罹患者85万人の3割が20~64歳の就労世代で、さらにその34.6%が退職していたという
休業リスクへの備えは、その必要性を認識していたものの、未だ浸透していないだけに、こちらのお奨めするスタンスもどこか遠慮がちになっていなかったか反省させられた。この確率を前にしては、もはや「できれば」などと安穏と構えてはいられない
医療保険やがん保険の加入者が増加し、且つ、所得減少も視野に高めの入院日額が推奨されている。しかし在宅療養が増えている昨今では、入院日額を高くしても役に立たない可能性がある
がん保険や医療保険(特定疾病特約)の入院一時金や診断一時金は、判定時に条件を充たせばその後の治療態様に関係なく給付され、用途制限もないため有用である
しかし休業の原因となるのは「がん」や特定疾病に限らない。原因を限定せずに備える保険としては所得補償保険や就業不能保障保険(特約)がある
ただこれらの商品も細部で差異があるのでよく比較検討したい。特に給付要件については「申込時の業務に従事できない場合」と定めている商品がある一方「いかなる業務にもまったく従事できない場合」と定めている商品もあるので注意したい
また加入の決断や保険金額の決定に当たっては、勤務先の休業補償規定を確認するとともに、団体保険契約の有無をまず確認したい
なお特別な補償制度がない場合でも、健康保険で標準報酬日額の3分の2が18ヶ月を限度に保障されること、労災の場合は給付基礎日額の80%が対象休業期間中補償されることは踏まえておきたい