少子化対策関連法成立

5日に成立した題記関連法のポイントを確認したい。

児童手当の拡充
  • 対象とする子を「18歳年度末までの子」へ
    (現行:15歳年度末までの子)
  • 第3子以降の給付額増額
    改定後 現行
    第1~2子 第3子以降 第1~2子 第3子以降
    2歳まで 15,000円 30,000円 15,000円
    3歳~小学卒 10,000円 10,000円 15,000円
    中学生 10,000円
    ~18歳年度末 0
  • 「第〇子」の数の認定対象を「22歳年度末までの扶養する子」へ
    (現行:18歳年度末までの子)
  • 所得制限撤廃
    (現行:扶養親族数に応じた2段階の所得制限があり、第1段階以上になると一律5,000円の特例給付、第2段階以上になると給付なし)
  • 年間支給回数を6回(偶数月)へ
    (現行:3回)

2024年10月から

児童扶養手当の拡充

児童扶養手当とは

「死別」「離婚」「片親が一定以上の障害者である」等により、実質1人で子を養育する親等に対する給付で、扶養親族数に応じた所得制限があり、段階的に一部支給停止や全部支給停止の措置が取られる
子の要件:18歳年度末までの子、または一定以上の障害のある20歳未満の子

多子世帯加算を増額する。すなわち第3子以降の子の加算額を、第2子の加算額と同額にする(第1子は全部支給45,500円、一部支給10,740円~で変更なし)
改定により第2子以降は子1人につき下記金額となる
全部支給:10,750円
一部支給:5,380円を下限に所得に応じ増額

 (現行、第3子以降は全部支給で6,450円、一部支給は3,230円から)

追って、所得限度額の引上げも政令で定める予定

⇨ 2024年8月20日追記

< 所得限度額 >  (単位:万円)
扶養
親族数
全部支給 一部支給
従前 改定後 従前 改定後
0人 49 69 192 208
1人 87 107 230 246
2人 125 145 268 284
  • 扶養親族数3人以降も1人増えるごとに限度額は38万円増える(全部支給・一部支給とも)
  • 「扶養親族数」には子以外の受給申請者の扶養親族が含まれる
  • 限度額アップで新たに対象となる場合、申請が必要(受給中の場合、定例の現況届にて改定内容が自動反映)
  • 親以外の扶養義務者(祖父母等)や孤児等の養育者についても所得制限があるが、この度での改定はなし
  • 「扶養親族数0人」は子が別生計の片親の扶養となっているケース等が該当

基準となる「所得」は「税法上の所得額(給与所得・公的年金等の所得がある場合は10万円控除)+受領養育費×80%-社会保険料相当控除(一律8万円)-児童扶養手当上の各種控除」で算出される

「所得」の計算方法詳細(「児童扶養手当上の各種控除」等)、一部支給額の計算方法、、障害年金との併給等については、各自治体(サイト)で確認されたい

2024年11月から

「出産後休業支援給付」の創設

出産後、一定期間内(男性は出生後8週間以内、女性は産後休暇後8週間以内)に、雇用保険被保険者とその配偶者の両方が14日以上の育児休業を取得した場合、被保険者の休業期間について、28日間を限度に休業開始前賃金の13%相当額を支給する

配偶者が専業主婦(夫)やひとり親の場合は、本人のみの休業で支給する

現行の育児休業給付67%に13%を加えて計80%とすることで、税・社会保険料等を考慮した場合に、最大28日間は休業前の手取りと概ね同額となることを想定している

2025年4月から

「こども誰でも通園制度」の創設

生後6か月から3歳未満の保育所等に通っていない子供を対象に、月に一定時間利用枠内で保育所利用を可能にする(専業主婦の家庭でも利用可)

「一定時間」は受入れ体制等の事情を勘案し内閣府令で定める(原則10時間以上とし、体制上困難な自治体については「3時間以上の一定時間」とする経過措置を設ける)

2026年4月から全国自治体で本格実施

「子ども子育て支援金制度」創設

健康保険料に上乗せして、少子化対策に要する財源を徴収する
金額は加入制度と被保険者の所得により定められる

2026年4月から

妊娠・出産時に10万円給付

妊婦認定時に5万円+妊娠している子供数×5万円(判明時)

2025年4月から

国民年金保険料免除の拡大

子どもが1歳になるまで、第1号被保険者の保険料を免除する

  • 年金額算出においては「保険料納付済み期間」として計算する
  • 休業要件・所得要件なし
  • 産前産後免除の対象となる母親の場合は、産後免除を含めて12ヶ月とする(よって当制度による免除は実質9ヵ月)

産前産後免除とは

出産(予定)日が属する月の前月分から4ヶ月分免除される制度(よって産後は3ヶ月)

2026年10月から

「育児時短就業給付」の創設

雇用保険被保険者が2歳未満の子を養育するために時短勤務をした場合に、その時短勤務中賃金の10%相当額を給付する

2025年4月から