貸与型奨学金の返還が困難なときに、返還額の減額を申請できる制度であるが、2024年度より利用の幅が広げられることとなった。まずは現行制度を確認したい。
現行制度
年収制限
給与所得のみの場合
:本人年収325万円
給与以外の所得を含む場合
:年間所得225万円
被扶養者1人につき38万円を収入あるいは所得から控除可
失業・新卒・災害・傷病等、前年の収入・所得に係わらず申請できるケースもある
その他の要件
- 月払いの口座振替返還が前提(現状が異なる場合は、まず、返還方法の変更要)
- 申請及び審査の時点で延滞がない(延滞がある場合は解消要)
減額割合
「2分の1」か「3分の1」に減額(どちらか選択)
適用期間
1回の申請で12ヵ月間の減額が認められるが、期限前に継続申請することで延長できる。ただし最長でも15年間が上限
補足(留意点)
- 総返還額は変わらないので、減額により返還期間が延長される
- 支払利息総額は変わらない
- 機関保証の場合、期間が延長されても保証料の追徴はない
- 減額返還中に2回連続で振替不能になると、減額適用が取消され、減額前の返還額が延滞額となり、さらに延滞金が加算される
改定内容
年収制限
給与所得のみの場合の本人年収を「400万円以下」に緩和
給与以外の所得を含む場合の年間所得制限額は未公表
減額割合
現行の2種類に「3分の2」「4分の1」といいう選択肢を加える
本制度のほかに「返還期限猶予制度」がある。これは返還困難時に返還を一時停止するもので、やはり承認を受けることで1年間停止され、1年ごとの継続申請で最長10年間の停止が可能(その期間分だけ返還期間が延びる)
< 年収制限 >
給与所得のみの場合
:本人年収325万円
給与以外の所得を含む場合
:年間所得225万円