2020年度税制改正の概要

3月27日に可決・成立した改正内容のうち、個人に係る主な項目(私見)の概要をまとめました。

NISAは2024年から新制度へ
現行制度 新制度
適用期間 2014~2023年
非課税は最長5年間
(ロールオーバー可)
2024~2028年
対象者 年初に20歳以上 年齢制限なし
対象商品 上場株・投信・ETF・REIT
  1. 積立:積立向け投信
  2. 一般:現行同様
    (レバレッジ型等は除外)
限度額
(年額)
120万円
  1. 積立:20万円
  2. 一般:102万円
  • 新制度「一般」への投資は「積立」利用が条件
    (「一般」のみ利用は届出要で、且つ個別株限定)
  • 「積立」は期間満了後、積立NISAに移行可
    (積立NISA制度は2042年まで延長)
  • 新制度は積立NISAと選択適用
  • ジュニアNISA制度は2023年末で終了
    (以降20歳未満は新制度に包含)
寡婦(寡夫)控除の改定
  1. 未婚のひとり親を控除対象に追加
    現行の寡婦・寡夫も含め「子を扶養するひとり親」に対する控除を「ひとり親控除」とする。よって改定後はそれに該当しない(=子以外を扶養、または扶養親族なし)寡婦に対する控除が「寡婦控除」となり、「寡夫控除」はなくなる
    子の要件:同一生計で総所得48万円以下
  2. 上記により寡夫・寡婦間(男女間)の控除額差がなくなる
    ただし「扶養親族なし」と「子以外を扶養」する寡夫は引続き対象外
  3. 寡婦にも所得制限(500万円以下)を設定
    よって「特別の寡婦」(所得500万円以下で子を扶養する寡婦)の概念もなくなる

寡婦・寡夫ごとに改正前後の控除額をまとめると次の通り

改正前

< 寡 >      (単位:万円)
死別 離別
本人所得 ~500 500超 ~500 500超
扶養親族 35 27 35 27
子以外 27 27 27 27
なし 27
< 寡 >      (単位:万円)
死別 離別
本人所得 ~500 500超 ~500 500超
扶養親族 27 27
子以外
なし

改正後 <すべてのケースで本人所得500万円以下が条件>

♣ 下記の赤字が「ひとり親控除」、黒字が「寡婦控除」

< 寡婦 >      (単位:万円)
死別 離別 未婚
扶養親族 35 35 35
子以外 27 27
なし 27
< 寡夫 >      (単位:万円)
死別 離別 未婚
扶養親族 35 35 35
子以外
なし
  • 上記「死別」には生死不明を含む。事実婚は対象外
  • 上記は所得税における所得控除額。住民税では35万円が30万円に、27万円が26万円と減額されるが、同様に所得控除を受けられる
  • 適用は所得税が2020年分から、住民税が2021年度から
  • 給与所得者・公的年金受給者は源泉徴収段階で反映(2020年の新規適用は年末調整で)
固定資産税・課税運用の見直し
  • 登記簿上の所有者が死亡している場合、市町村条例により現占有者に必要事項を申告させ、課税できることとする
  • 調査しても所有者が判明しない場合、使用者への課税を可能とする
国民健康保険料(税)軽減判定の所得基準改定
  • 5割軽減:被保険者数×28万円 ⇒ 28.5万円
  • 2割軽減:被保険者数×51万円 ⇒ 52万円