2025年度税制改正の概要

2025年度税制改正における個人に関わる主な項目についてポイントのみ掲載します。個別に明記がない項目の実施時期は2025年分(住民税は2026年分)からです。尚、実施済み特例制度の延長については省略しております。

基礎控除の引上げ
合計所得金額 改定後 改定前
132万円以下 95万円 48万円
上記超 336万円以下 88万円
上記超 489万円以下 68万円
上記超 655万円以下 63万円
上記超 2,350万円以下 58万円
上記超 2,400万円以下 48万円

132万円超655万円以下の段階的増額は2025年・26年の2年間のみ適用(2027年からは一律58万円となる)

  • 合計所得金額2,350万円超は改定なし
  • 住民税の基礎控除は改定なし
給与所得控除の引上げ
改定後 改定前
給与収入額 控除額 給与収入額 控除額
190万円以下 65万円 162.5万円以下 55万円
180万円以下 収入×40%-10万円
180万円超
 360万円以下
収入×30%+8万円
190万円超は改定なし
配偶者控除・扶養控除・ひとり親控除の対象者所得要件引上げ

控除の対象となる者の合計所得金額要件を10万円引上げる
現行 48万円 ⇒ 58万円 へ

配偶者特別控除適用における控除対象配偶者の合計所得金額上限は133万円のまま

特定親族特別控除の新設

扶養控除における「特定扶養親族(19歳以上23歳未満)」の対象者所得要件(上記の通り58万円となった)をオーバーした場合でも、当控除により一定所得まで、漸減しながらも控除を可能とする

対象親族の合計所得金額 所得税 住民税
58万円超 85万円以下 63万円 45万円
 上記超 90万円以下 61万円
 上記超 95万円以下 51万円
 上記超 100万円以下 41万円
 上記超 105万円以下 31万円
 上記超 110万円以下 21万円
 上記超 115万円以下 11万円
 上記超 120万円以下 6万円
 上記超 123万円以下 3万円
勤労学生控除の所得要件引上げ

合計所得金額 75万円 ⇒ 85万円 へ

勤労学生控除とは

納税者が勤労学生の場合、合計所得金額が一定以下(かつ勤労所得以外の所得が10万円以下)であれば、27万円の所得控除を受けられる

給与所得控除が上記の通り65万円となるため、収入が給与のみなら年収150万円以下で当控除の適用可

家内労働者の必要経費算入最低保障額を引上げ

家内労働者の所得算出において、実際に要した経費が「最低保障額」未満でも当該「最低保障額」を必要経費として収入から控除できる
最低保障額:現行 55万円 ⇒ 65万円 へ

家内労働者とは

内職・集金等、特定の者に継続的に役務を提供し収入を得ている者(給与ではなく、事業所得・雑所得に該当)

企業型確定拠出型年金(DC)改定
  • マッチング拠出について「事業主掛金以下」の要件を廃止し、事業主掛金額を超えての拠出を可とする
  • 拠出限度額:現行月額 55,000円 ⇒ 62,000円 へ
    (他企業年金加入済みの者は「62,000円ー当該加入済み掛金」が限度)
  • 実施時期未定(関連法改正待ち)
iDeCo(個人型確定拠出年金)改定
  • 60歳以上70歳未満で従来加入不可とされていた者でも、加入歴があり、iDeCo口座に資産を有する者は、基礎年金やiDeCo老齢給付を受給していない限り加入(掛け金拠出)を可とした(拠出限度額:62,000円)
  • 拠出限度額アップ
    被保険者態様 改定後限度額 現行
    国民年金第1号被保険者 75,000円 68,000円
    企業年金非加入の2号被保険者 62,000円 23,000円
    企業年金加入済みの2号被保険者 62,000円ー既掛金額 20,000円

    国民年金第3号被保険者の拠出限度額は23,000円のまま
    現時点で施行時期未定(関連法改正待ち)

国民年金基金の掛け金上限アップ

現行月額 68,000円 ⇒ 75,000円 へ

実施時期未定(関連法改正待ち)

退職所得控除の勤務期間調整改定

< 現行制度 >

DC(確定拠出年金)の一時金受給に退職所得控除を適用する場合、その前年以前19年以内に使用した同控除と勤務期間あるいは掛け金拠出期間を重複適用できない(使用後の残期間のみ適用可)。逆に、先にDC老齢一時金を受給していた場合、その翌年以降4年以内でなければ、次の他の一時金(退職金等)受給について、DCで使用した掛け金拠出期間の影響を受けない

< 改定内容 >

上記4年が9年に延長された(2026年1月1日以降の受給に適用)
すなわちDC老齢一時金を先に受給しても、その翌年以降9年間は、次の退職所得控除使用時にDCとの重複期間が控除される

国保保険料軽減判定基準の改定

前年所得が下記基準以下の場合、均等割額と平等割額が軽減される

軽減割合 基準額算式 現行(赤字部)
7割軽減 43万円+(給与所得者等の数ー1)×10万円 改定なし
5割軽減 7割軽減基準+(30.5万円×世帯被保険者数) 29.5万円
2割軽減 7割軽減基準+(56万円×世帯被保険者数) 54.5万円

給与所得者等とは

一定額を超える収入の有る者(給与収入なら55万円、公的年金収入なら65歳未満で60万円、65歳以上で125万円)

子育て世帯の一般生命保険料控除拡充
< 現行制度 >
年間保険料 所得税控除額
2万円以下 支払保険料の全額
上記超 4万円以下 支払保険料×1/2+1万円
上記超 8万円以下 支払保険料×1/4+2万円
8万円超 一律 4万円
< 改定後 >
(23歳未満の扶養親族を有する場合限定)
年間保険料 所得税控除額
3万円以下 支払保険料の全額
上記超 6万円以下 支払保険料×1/2+1.5万円
上記超 12万円以下 支払保険料×1/4+3万円
12万円超 一律 6万円
  • 2026年分の所得税に適用
  • 適用対象は一般の新生命保険料(2012年1月1日以降の契約)
  • 新契約と旧契約の控除額を合算適用する場合も上限は6万円となる
  • 当改定適用で一般生命保険料の控除限度額は6万円となるが、介護医療保険料控除(限度額:4万円)と個人年金保険料控除(限度額:4万円)との合計での生命保険料全体としての控除限度額は従来通り12万円のままである
  • 住民税の控除額算出式及び控除限度額は改定なし