2025年金制度改革

6月13日に成立した年金改革法の要点をまとめました。

厚生年金の適用拡大

短時間労働者の加入拡大

< 現行制度 >

法人においては、企業規模に係わらず、週所定労働時間及び月所定労働日数が正社員の4分の3以上なら加入(健康保険を含む)
うち、従業員50人超の法人の場合

  1. 週所定労働時間が20時間以上
  2. 2ヵ月を超えて雇用される見込み
  3. 月額賃金88,000円以上
  4. 学生でない

のすべてを充たせば加入対象

< 改定内容 >

  1. 上記「50人超」を段階的に拡大
    • 2027年10月から:35人超へ
    • 2029年10月から:20人超へ
    • 2032年10月から:10人超へ
    • 2035年10月から:すべての法人へ
  2. 上記4要件の内、c の賃金要件を撤廃

施行日:3年以内の政令で定める日

適用個人事業所の拡大

< 現行制度 >

常時5人以上使用する17業種の個人事業所のみ強制適用

< 改定内容 >

常時5人以上使用する個人事業所は業種に係わらず、すべて強制適用へ
*施行日時点での既存事業所は適用除外

施行日:2029年10月

激変緩和措置

新たに社会保険適用となる労働者の保険料負担(厚生年金保険料及び健康保険料)を軽減するため、労働者の負担割合を本来の50%よりも低い一定の割合に抑える制度を採用する企業に対し、その低減分保険料を国が負担する制度を創設する

支援期間:申し出から3年間

対象企業

  • 上記改定により新たに社会保険適用となる労働者を抱える「常時使用50人以下の法人」
  • 同様に、「適用除外業種でなくなる5人以上使用する個人事業所」
  • 任意で短時間労働者への社会保険適用を実施する法人や5人未満の個人事業所
軽減後の労働者負担割合
標準報酬月額 8.8万円 9.8万円 10.4万円 11万円 11.8万円 12.6万円
労働者負担割合 25% 30% 36% 41% 45% 48%

* ただし、3年目は半減する

施行日:2026年10月

在職老齢年金の緩和

支給停止の収入基準額を2024年度価格で50万円から62万円に引上げ

施行日:2026年4月

遺族年金の見直し

子のない配偶者は5年の有期へ

子のない60歳未満の配偶者(男性を含む)への遺族厚生年金が5年間の有期年金となる。子のある受給者は、子が18歳年度末を迎えるなど、遺族基礎年金の受給権を喪失してから5年間受給となる

  • 男性は施行日から即適用。女性は2028年度末40歳未満の人が対象となる
  • 20年掛けて現行の無期限受給から段階的に移行する
  • 夫は受給要件から年齢制限が無くなったが、父母・祖父母は「60歳以上」に改定
  • すでに受給中の者に影響はない

施行日:2028年4月

改定前の制度参照PC向けサイト

延長制度

障害や所得の状況から配慮が必要な場合は、5年経過後も65歳まで給付を継続する

< 継続認定と支給停止 >

障害 障害年金受給権の認定
(障害年金との択一)
所得 第1基準
国民年金保険料全額免除基準を勘案して政府が定めた金額
第2基準
 (同上) 4分の1免除基準を勘案して政府が定めた金額
  • 第1基準以下なら全額継続給付(後掲「有期給付加算」含む)
  • 第1基準超なら超過額の3分の1を支給停止
  • 第2基準超なら超過額の2分の1を支給停止
  • 停止額が給付額に達すれば全額支給停止

< 受給権の失効事由 >

  • 全額支給停止から2年経過
  • 65歳到達
  • 老齢厚生年金の受給権取得
改正を受けての補足給付

A.有期給付加算

死亡者の老齢厚生年金額の4分の1を追加給付する
≫ 結果、死亡者のその時点までの記録による老齢厚生年金の満額受給となる

B.65歳から「死亡分割」加算

離婚時の厚生年金記録分割と同様の仕組みを適用し、以下を基にした本人の年金額算出を可とする

  • 第3号被保険者期間は死亡者の年金記録の2分の1
  • 厚生年金記録重複期間は両者の標準報酬月額合算の2分の1

C.受給者の所得要件撤廃

現行の制限(年収850万円あるいは所得655.5万円未満)を撤廃する

「5年の有期給付」では撤廃されるが、遺族基礎年金や本来の遺族厚生年金(子のある場合や60歳以降)については現行の制限が維持される

中高齢寡婦加算の廃止

25年間かけて段階的に縮小・廃止する

受給中及び施行日前の事由発生には影響なし

施行日:2028年4月

子の加算額改定

A.加算対象年金の拡大

遺族厚生年金・障害厚生年金(1・2級)・老齢基礎年金にも加算することとする

現行は老齢厚生年金・障害基礎年金・遺族基礎年金のみ加算

  • 老齢基礎年金において、「保険料納付済期間+免除期間」が25年未満の場合の加算額は
    満額×「保険料納付済期間+免除期間」(月数)/300」とする
    * 「免除期間」は免除割合を考慮しない
  • 基礎年金と厚生年金の加算が重複する場合は厚生年金を優先する

B.加算額の引上げ

  • 2024年度価格で234,800円を281,700円へ2割アップ
  • 3人目以降の子も同額とする

C.老齢厚生年金での加算要件緩和

老齢厚生年金での加算(加給年金額)における受給要件「被保険者期間20年以上」を「10年以上」に短縮する

配偶者の加給年金額は「20年以上」のまま

施行日:2028年4月

配偶者加給年金額の減額

老齢厚生年金の配偶者加給年金額と特別加算を各々1割減額する

2024年度価格 同基準での改定後価格
配偶者加給年金額 234,800円 211,300円
特別加算 173,300円 155,900円
合計 408,100円 367,200円

受給中及び施行日前の事由発生なら影響なし

障害厚生年金の配偶者加給年金額は改定なし

施行日:2028年4月

老齢年金繰下げの規制緩和

現行では遺族厚生年金の受給権を取得した段階で、老齢年金(基礎および厚生)の繰下げ権が無くなり、繰下げ中であれば、その時点の繰下げによる増加率が確定し、受給を開始することとなる

改定により老齢基礎年金はシンプルに、老齢厚生年金は遺族厚生年金を請求しないことを条件に、繰下げが可能となる

遺族厚生年金の受給よりも、老齢厚生年金の繰下げによるメリットを選択できるようになる

施行日:2028年4月

標準報酬月額の上限引上げ

厚生年金の標準報酬月額を以下のスケジュールにより段階的に引上げる

現行 2027年9月~ 2028年9月~ 2029年9月~
65万円 68万円 71万円 75万円

iDeCo改定

A.加入可能年齢を「70歳未満」へ

< 現行は最長でも65歳まで >

国民年金第1号・第3号被保険者:60歳まで
第2号被保険者・任意加入者  :65歳まで

< 70歳まで加入継続の要件 >

  • iDeCoの口座に資産がある、またはDCから移換できる
  • 老齢基礎年金やiDeCoの老齢年金を受給していない

B.拠出限度額の引上げ

具体的にはこちらをご参照

施行日:3年以内の政令で定める日