2023年度年金は実質目減り

この度の年金額改定に用いる2指標の数値は(1)消費者物価変動率:2.5%、(2)名目手取り賃金変動率:2.8%だった。(2)が(1)を上回ったことで、現役世代に近い「新規裁定者」と、その後の「既裁定者」の年金額が初めて異なることとなった

新規裁定者:67歳到達年度者まで
既裁定者 :68歳到達年度以降者

裁定者区分については、こちらをご参照サイト内別投稿

「新規裁定者」は名目手取り賃金変動率で、「既裁定者」は消費者物価変動率により改定する仕組みが定められて20余年、特例や運用のルールにより、別々の年金額となることはなかった。今回、それぞれの改定率が定められたことで、2024年度以降も、各々異なる金額で推移することになる

各指標パターンに応じた運用ルール(例)

消費者物価変動率より名目手取り賃金変動率のほうが低い場合は、新規裁定者、既裁定者とも、名目手取り賃金変動率により改定する 等
詳細な運用ルールについては厚労省サイトにてご確認ください

なおこの度の改定に適用する指標は、ともにプラスだったが、マクロ経済スライド調整率として▲0.6%が差し引かれるため、ともに消費者物価変動率を割込み、年金の相対的価値は目減りすることとなる

マクロ経済スライド調整率内訳

  • 2023年度適用分   :0.3%
  • 2022年度からの持越し:0.2%
  • 2021年度からの持越し:0.1%

2023年度適用分の内訳
(公的年金被保険者総数の変動率)0%+(平均余命延び率)0.3%

マクロ経済スライド調整率については、こちらをご参照サイト内別投稿

2023年度国民年金満額

<新規裁定者>
0.996(前年度改定率)×{1+(2.8%-0.6%)}≒1.018
780,900円×1.018≒795,000円(百円未満四捨五入)
<既裁定者>
0.996(前年度改定率)×{1+(2.5%-0.6%)}≒1.015
780,900円×1.015≒792,600円(百円未満四捨五入)
780,900円は基準額(平成16年度の本来水準額)

  • 2022年度国民年金満額:777,800円
  • 子の加算額や加給年金額は、既裁定者にも新規裁定者の改定率が適用され、同一となる。具体的な金額詳細はこちらを参照PC向けサイト

2023年4月分(6月給付分)から改定される

国民年金保険料(月額)

2023年度:16,520円(対前年▲70円)
2024年度:16,980円(対前年+460円)

在職老齢年金の支給停止調整額

47万円(現行)から48万円へ