年金額改定に用いる2指標の今回適用数値は(1)消費者物価変動率:▲0.2% (2)名目手取り賃金変動率:▲0.4%だった。(2)が(1)より低い場合は新規裁定者・既裁定者とも(2)を適用することとなったため、すべての年金受給者について前年度比0.4%の減額となる(減額は2年連続)。
よって2022年度の国民年金(満額)は
1.000(前年度改定率)×(1-0.4%)≒0.996
780,900円(基準額)×0.996≒777,800円
となり、4月分(6月給付分)から改定される
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なお名目手取り賃金の低下については、コロナ禍による賃金低下が影響してるとのことだが、名目手取り賃金変動率は前々年度までの3年度分のデータが用いられるため、来年度以降も影響するものと思われる。さらに本年10月からは、パートタイム労働者の社会保険加入要件引下げを求められる企業規模が、現行の「従業員500人超」から「100人超」へと拡大されることも平均賃金の下押し圧力になると思われる。政府は最低賃金の引上げほか、企業に賃上げを促す政策を打ち出しているが、前記のマイナス要因をいつ頃、どれだけカバーできるかは不明だ。当面、年金額の抑制傾向が続くことが危惧される
なお本来2022年度に適用されるべきマクロ経済スライド調整率▲0.2%は年金額がマイナス改定のため適用されず、2021年度からの繰越し分▲0.1%と合わせ、▲0.3%が次年度以降への繰越しとなった
<2022年度に適用すべきマクロ経済スライド調整率>
直近3年間の公的年金被保険者数変動率:0.1%
平均余命伸長勘案率:▲0.3%
⇒(1+0.001)×(1-0.003)≒0.998
⇒▲0.2%
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なお2022年度の国民年金保険料(月額)は16,590円(対前年▲20円)となる
<保険料算出式>
物価変動率:0%
実質賃金変動率:▲0.1%
⇒0.977(前年度改定率)×(1±0)×(1-0.001)≒0.976
⇒17,000円(基準額)×0.976≒16,590円