年金額改定に用いる2指標の今回適用数値は(1)消費者物価変動率:0% (2)名目手取り賃金変動率:▲0.1%だった。両指標の適用方法が2021年度より改定され「(2)が(1)より低い場合は新規裁定者・既裁定者とも例外なく(2)を適用」となったため、押し並べて0.1%の減額となった
すなわち旧来は物価変動率がマイナスでなければ、名目手取り賃金変動率がマイナスでも減額とはならず、据え置きとされていたが、2021年度からは「物価変動率>名目手取り賃金変動率」の場合、名目手取り賃金変動率に完全連動となった
よって2021年度の国民年金(満額)は
1.001(前年度改定率)×(1-0.1%)≒1.000
780,900円(基準額)×1.000=780,900円
と、年額で780,900円、月額では65,075円(対前年▲66円)となり、4月分(6月給付分)から改定される(2か月分で13,150円)
年金額算定方法については、こちらをご参照 サイト内別投稿
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ちなみに名目手取り賃金の低下については、計算対象となる厚生年金被保険者にパートタイム労働者が徐々に組み込まれていることが影響しているものと思われ、この傾向は今後も続くため、名目手取り賃金変動率、すなわち年金額が抑制され続けるものと思われる
なお本来2021年度に適用されるべきマクロ経済スライド調整率▲0.1%は年金額がマイナス改定のため適用されず、次年度以降への繰越しとなった
<2021年度に適用すべきマクロ経済スライド調整率>
直近3年間の公的年金被保険者数変動率:0.2%
平均余命伸長勘案率:▲0.3%
⇒(1+0.002)×(1-0.003)≒0.999
⇒▲0.1%
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なお2021年度の国民年金保険料(月額)は16,610円(対前年+70円)となる
<保険料算出式>
物価変動率:0.5%
実質賃金変動率:▲0.1%
⇒0.973(前年度改定率)×(1+0.005)×(1-0.001)≒0.977
⇒17,000円(基準額)×0.977≒16,610円